CCETについて

 
 

背景

過去数十年間にわたり、世界の経済成長は目覚ましく、人々に多くの富と繁栄をもたらしました。しかし、この急速な経済成長と都市化の結果、環境と人々の健康に深刻な被害が及んだことも事実です。都市部の住民による消費増大を受け、廃棄物は急増し、環境の悪化を招く一因となりました。特に、発展途上国が抱える深刻な課題のひとつが廃棄物管理です。低・中所得国で発生する一般廃棄物のおよそ3分の1ないし3分の2は適切に収集されず、路上や空き地に山積みで放置されたり、その場で焼却されたりしています。仮に収集されても、十分な管理下で輸送・投棄されるとは限りません。不適切なごみの埋め立ては、人為的なメタン(CH4)排出の第3の原因となっており、推定される世界のメタン排出量の約11%を占めます。また、一般廃棄物の野焼きや、大量に排気ガスを排出する古い収集車による輸送から、大量のブラックカーボンも発生しています。

2015年、パリ協定と持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)という2つの重要な国際的合意が締結されました。低炭素型、資源効率的、持続可能な社会の構築は昨今、人類共通かつ喫緊の課題であり、その実現には国、都市、コミュニティが一体となった行動が求められます。

廃棄物管理から資源管理への移行は、排出後の廃棄物にのみ着目するエンドオブパイプ方式の解決策からの脱却と、より包括的なアプローチへの転換を意味します。低炭素型・資源効率の高い社会の実現、気候変動などの課題に取り組むにあたり、資源・廃棄物の分野は大きな役割を担うこととなります。この観点から、発展途上国や市場経済移行国では、持続可能な社会の構築に向け、政策、資金調達、技術、インフラ、能力開発に対するニーズが高まっています。

CCETの設立経緯

国連環境計画(UNEP)の環境総会(Environment Assembly)は、化学物質と廃棄物に関する決議27/12にて、廃棄物の抑制、軽減および管理に注力する国際的な取り組みにおける協力と連携を引き続き推進するよう要請しました。さらに、UNEP管理委員会は決議25/8および26/3にて、各国の統合型廃棄物管理の実施への支援を呼びかけ、また国連の持続可能な開発会議(リオ+20)は、国および地方レベルの包括的な廃棄物戦略、政策、法規制の策定を求めました(成果文書「我々の求める未来(”The Future We Want”)」の第218パラグラフ)。

これらを背景に、地球環境戦略研究機関(Institute for Global Environmental Strategies:IGES)はUNEPとともに、2014年12月にペルーのリマで開催された第20回国連気候変動枠組条約締約国会議(20th session of the Conference of the Parties to the United Nations’ Framework Convention on Climate Change :UNFCCC-COP 20)において、その共同イニシアティブとしてIGES-UNEP 環境技術連携センター(IGES Centre Collaborating with UNEP on Environmental Technologies:CCET)を立ち上げました。さまざまな国、地域および都市が、廃棄物が環境と人々の健康に及ぼす悪影響を管理体制の整備と通じて軽減し、資源効率性の高い持続可能な社会への実現に向けて協力を深めることを目指しています。

目的達成に向け、CCETでは支援対象国や、特に急速な発展を遂げている都市の廃棄物管理能力を向上させるべく、気候変動に配慮した廃棄物管理の普及および主流化、包括的廃棄物管理、3R(reduce, reuse and recycle) 政策、知識・ノウハウの蓄積、能力開発プログラムなど、多様なプロジェクトを展開しています。

UNEP国際環境技術センター(International Environmental Technology Centre:IETC)との連携

CCETは、IGES、UNEPおよびUNEP国際環境技術センター(International Environmental Technology Centre:UNEP-IETC)間の連携強化を目的に設立されました。CCETは、UNEP IETCのミッションである環境上健全な技術(Environmentally Sound Technologies:ESTs)の適用や、発展途上国ないし経済移行期にある国における廃棄物管理改善に向けた取り組みを通じて、国際社会におけるUNEP IETCの活動およびその拡大に貢献しています。

その一環として、CCETは現在、国および地方自治体レベルでの廃棄物管理戦略やアクションプランの立案と、これらをもとにしたパイロットプロジェクトの実施を専門的見地から支援しています。一部のプロジェクトは、その後、パイロット実施地域以外の地域でも展開されています。また、廃棄物管理に関する意思決定や実施に役立つノウハウの取りまとめやツール作成、専門家や一般市民、行政機関などの幅広いステークホルダーの関与促進も行っています。

 

パートナー機関

地球環境戦略研究機関(Institute for Global Environmental Strategies:IGES)

https://www.iges.or.jp/en

IGESは、神奈川県葉山に本部を置き、アジア太平洋地域および世界全体での持続可能な開発の実現に向け、環境の視点からの政策研究を行っています。1998年の創立以来、持続可能な消費と生産に関する課題解決にも積極的に従事し、当該地域においても3R(reduce, reuse and recycle)政策についての戦略研究やマルチステークホルダーとの協力で実績を上げてきました。

国連環境計画(United Nations Environment Programme:UNEP)

https://www.unenvironment.org/

国連環境計画(United Nations Environment Programme:UNEP)は、環境分野における国連の主要な機関として、地球規模の環境課題を設定し、政策立案者を支援し、国連システム内にあって持続可能な開発の取り組みの中で環境に関連した活動を進め、グローバルな環境保全の権威ある唱道者としての役割を果たしています。

UNEPの活動内容:

・世界、地域、国レベルの環境問題の現状と動向の把握
・環境問題解決に向けた国際レベル・国レベルでの政策手段の開発
・環境保護・管理のための法整備、社会制度の強化

UNEPのミッション「各国の政府と国民が将来の世代の生活の質を損なうことなく自らの生活の質を改善できるように、環境の保全に指導的役割を果たし、かつパートナーシップを奨励する。」

UNEP国際環境技術センター (International Environmental Technology Centre (UNEP -IETC) )

https://www.unenvironment.org/ietc/

UNEP国際環境技術センターは、各国が環境課題に対する適正な技術的解決策を特定し、それを適用できるよう支援しています。

UNEP国際環境技術センターは、このビジョンを具現化するため、環境上適正な技術(Environmentally Sound Technologies:ESTs)の適用を推進し、国や地方自治体が環境上適正な戦略やアプローチを積極的に利用できるよう技術協力や助言を行っています。また、気候変動による影響の軽減、対応性の強化、雇用の創出、市民福祉の改善のため、革新的な手法や技術を取り入れ、各国でパイロットプロジェクトも実施しています。さらに、世界中の大学と協力し、目的別研修コースや学習機会を通じた大学院レベルの教育カリキュラムを考案するほか、一般市民向けのアウトリーチ活動、専門家グループとの政策対話も実施しています。

UNEP国際環境技術センターのミッション「廃棄物管理分野を中心に、環境上適正な技術に関する国際的な研究拠点としての役割を果たす」

 

運営委員会

CCETの活動および運営方針は、CCETの運営委員会のレビューを経て決定されます。運営委員会は政府職員、廃棄物管理の専門家、開発実務者から構成される横断的組織で年2回の定例会合にて、改善計画に沿って継続的に進捗を評価し、技術・運営上のアクションを提言します。

現在のCCET運営委員会メンバー

  • 辻原浩

    環境省地球環境局国際地球温暖化対策担当参事官

  • リジア・ノロンハ(Ligia NORONHA)

    国連環境計画(United Nations Environment Programme)経済部長

  • キース・アルバーソン(Keith ALVERSON)

    UNEP国際環境技術センター(UNEP-IETC)所長

  • 森秀行

    地球環境戦略研究機関(IGES)所長

  • アガムトゥ・パリアタムビイ(Agamuthu PARIATAMBY)

    サンウェイ大学(Sunway University)持続可能な開発に関するジェフリー・サックスセンター教授

  • プラサード・モダック(Prasad MODAK)

    環境管理センター(Environmental Management Centre LLP)CEO

 

メンバー

CCETは、プロジェクトやイニシアティブに、メンバーの多面的な知見と専門性を活かしています。

  • 小野川和延所長

    2012年シニアフェローとしてIGESに入所。2002年から2011年まで国際連合地域開発センター(United Nations Center for Regional Development :UNCRD)所長とIGESの評議員を務める。京都大学工学部卒業後、1972年、環境庁(現環境省)に入庁し、水質管理、環境影響評価(EIA)、交通問題、地球環境問題および日本の研究機関の環境研究管理などを担当。UNCRD、環境省の他、UNEPアジア太平洋地域事務所(バンコク)、国際応用システム分析研究所(International Institute for Applied Systems Analysis:IIASA、ウイーン)、国立環境研究所(National Institute for Environmental Studies:NIES)、中東欧地域環境センター(Regional Environment Center for Central and Eastern Europe:REC、ブダペスト)に勤務。

  • プレマクマラ・ジャガット・
    ディキャラ・ガマラララゲ
    (Dr. Premakumara Jagath DICKELLA GAMARALALAGE) 副センター⻑

    専門は、環境計画立案と持続可能な都市開発。日本福祉大学で博士号(経営開発)を取得。博士研究員として名城大学名城アジア研究センターに所属した後、IGES北九州アーバンセンターに入所。同センターでは、持続可能な都市の整備における住民参加型計画とコミュニティ主体型開発を中心に研究活動を実施。現在、CCETの副所長として、アジア太平洋地域の発展途上国に対し、公害のない、資源効率性の高い持続可能な社会の実現に寄与すべく、包括的な廃棄物管理の改善における技術支援を実施。

  • 林 美穂プログラムマネージャー

    2020年1月からCCETのプログラムマネージャーとして活動。米国で「持続可能な開発」の修士号を取得後、開発コンサルタント、UNDP、JICA、国際NGOなどで、環境と地域開発の専門家として15年間途上国支援に従事。安全な飲料水へのアクセスが非常に限られたハイチの農村で浄水会社を設立したほか、マイクロクレジット制度の導入や商品作物となる果樹・種の市場拡大の支援を通じて、地域に根ざした植林活動にも深く関与するなど、ボトムアップ型のプロジェクト経験も豊富に有する。

  • ラジブ・クマル・シン
    (Dr. Rajeev Kumar SINGH)研究員

    筑波大学で廃棄物管理修士号および環境学博士号を取得。農研機構の契約研究員、IGESのコンサルタント職を経て2017年にIGESに入所。現在、アジア地域の発展途上国において、国・地域レベルの廃棄物管理戦略策定や、適切な廃棄物管理のノウハウや知識の集積、活動拡大に向けたネットワーキングやキャパシティビルディング支援に従事。

  • 辰野美和プロジェクトコーディネーター

    2019年、CCETのプロジェクトコーディネートを担当。米国大学院にて修士号(国際環境政策)を取得後、ビジネスコンサルティング企業および認証試験機関にて、製造業者および供給業者に対し、各国の環境規制の遵守、製品中に含有される有害物質の管理、環境に配慮した製品の製造に関する支援に従事。現在は、インドネシアの廃棄物管理政策やブータンの環境教育に関するプロジェクトを担当。

  • 井上美紀アシスタント